「不動産侵奪罪」の意味・定義とは?どうしたら不動産侵奪罪になるの?時効は?

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不動産侵奪罪ってどんな罪?

身近な所でも不動産に関するもめごとって結構あります。
近所の人でも土地の境界線でもめていたり、親の土地なのに勝手に人が使っているなど、意外と多いトラブルなのです。
土地付の家を購入したはずなのに隣の人が土地を占有していた等の問題もあり、トラブルによってはかなり複雑な問題となっていることもあります。

通常、民事的に解決する事が多いのですが、中には刑事事件となることもあるようです。
土地に関する罪には不動産侵奪罪などがあります。
これはどのような罪になるのか理解しましょう。

不動産侵奪罪は窃盗および強盗の罪として規定されている

不動産侵奪罪は不動産に関係するトラブルによって犯罪となるのですが、実は窃盗及び強盗の罪の中に規定されているのです。
考えられない事ですが、昔の日本では不動産を窃盗しても窃盗にならないということがまかり通っていました。

不動産は現金や株券などとは別に移動ができない財産なので、民事的に解決する事で対応できるとされていたのです。
しかし戦後、不動産の価格が一気に高騰したことで人の不動産を窃盗するという行為が多くなり取締が強化されました。
そこで生まれたのが不動産侵奪罪です。

侵奪というのは他人が不動産を占有することを妨害、排除し事実上自分の占有としてしまうことといいます。
人の家などを奪い、勝手に自分が占有して暮らすのですから、不動産の窃盗となるわけです。
勝手に人の土地に建物を建てる、人が持っている空き家に勝手に住み着いたなどが不動産侵奪罪にあたります。

ただ不動産登記を無断で行った場合でも、その不動産を占有していない場合、この罪になりません。
登記名義を勝手に変更した罪として有印私文書偽造罪などに問われることがありますが、不動産侵奪罪にはならないのです。

不動産侵奪罪の例をみてみよう

柵などを人の敷地内にはみ出させて作り、人の土地を自分の占有地として利用すると不動産侵奪罪に問われます。
境界トラブルによっておこりやすい事例です。

また人の土地に無断で建物を建てる行為については、不動産侵奪罪が作られるきっかけとなった梅田村事件があります。
土地を不法占拠していたバラックを地権者が重機によって破壊、不法占拠していた人たちを無理やり退去させたという事件です。

バラックに暮らしていた人たちから訴えられましたが、土地の所有権は地権者にあり、正当防衛が認められた事件であり、これによって不動産侵奪罪ができたといえます。
人の土地を勝手に売り、第三者に建築物を作らせたり、人の土地の上に張りだし、自分の家を建てるのも不動産侵奪罪です。

不動産侵奪罪の時効とは

不動産侵奪罪の公訴時効は7年、また不動産侵奪罪には一定期間の占有によって取得時効が成立する事もあるので、取得時効についても理解が必要です。
不動産侵奪罪によって取得時効が成立した場合、その期間は20年となります。

不動産に関するトラブルに巻き込まれた時や、問題がある時には、法律の専門家への相談を早急に行い、トラブルが大きくならないようにすべきです。
不動産侵奪罪の内容等もしっかり覚えておきましょう。